セカンドオピニオンを理解する

セカンドオピニオンの始まり

 1980年代にアメリカで、民間保険会社が「医師によって生じる医療費の差」を不合理と

 考え、高額な手術を行う時は、主治医のみならず他の医師の意見も聞かなければ保険を

 適応しないという方針を打ち立てたことからセカンドオピニオンが始まりました。

日本でのセカンドオピニオンの一人歩きと誤解

 主治医の治療方針に疑問をもった患者さんが別の医師の意見を聞くという「駆け込み寺」

 のように解釈されかねないこともあり、患者さんと医師との信頼関係がうまくいかずに、

いつしかセカンドオピニオンがドクターショピングになってしまうこともあります。

本来のセカンドオピニオンの目的

 セカンドオピニオンとは、患者さんが、検査や治療を受けるにあたって、より適切な選

択肢を選ぶために、主治医以外の第三者(医師)に意見や助言を求めることをいいます。

したがって意見や助言をする側は、患者さん自身による検査や治療の選択と意思決定に

協力し、患者さんとその家族と主治医との信頼関係を損ねないようにすることを目的と

します。

患者さんの気持ち・ルール・権利

 医師から検査や治療の説明を受けても、専門的な知識のない患者さんと家族にとっては

どの選択肢を選んだらいいのか判断がつかず、とても不安になることでしょう。

その上、主治医の説明が不十分であったり、わかりにくいことも否定できません。また

セカンドオピニオンの話しをしたら、「先生に失礼になる」とか「先生が気分を害する
ではないか」という気持ちもあることでしょう。

まずは主治医にセカンドオピニオンの希望の意志を伝えることが重要です。そしてセカ

ンドオピニオンを受けるには一定のルールがあり、主治医を飛び越えてセカンドオ

ピニオンを受けることはできません

セカンドオピニオンとは、「医師をかえる」ことではなく、主治医と患者さんとの良好な

関係を保ちつつ、第三者の医師の意見を聞くことなのです。そして説明を十分納得して

選択肢を選ぶことは、患者さんの基本的な権利なのです。

アメリカでのセカンドオピニオン

 治療法を選択するにあたって、主治医からの説明の後で、

1)あなたはセカンドオピニオンを希望しますか、あるいは

 2)○○病院の□□先生にセカンドオピニオンを受けてください

 というように、主治医側からセカンドオピニオンを勧められ、複数の医師の意見を聞い
 上で、患者さん自身が治療法を判断します。

 例えば、乳がんの場合、乳房を切除するのか、あるいは部分切除にとどめて放射線療法を

行うのかなどの判断が患者さんにとってもっとも悩むところです。そこで外科医、放射線

科医、化学療法の専門医などの意見を聞いて、治療法のリスク、メリット、デメリットを

理解・納得した上で、患者さん自身が治療法を選択します。

町医者としての私のセカンドオピニオン

 セカンドオピニオンは日本において、この数年の間に、大学病院や公的病院等でセカン

ドオピニオン外来として設置されるようになり、時間単位の自費診療や保険診療とし

て行われるようになりました。

 当院を受診する患者さんの多くは、セカンドオピニオンの意味を正確には理解しておら

ず、すでに行われた過去の治療、経過、説明に対する「不平・不満・誤解」であったり、

「信頼関係の悪化」による転医希望の相談がほとんどです。また患者さん自身は主治医

を信頼しているにもかかわらず、家族と主治医との関係悪化による家族からの相談や、

セカンドオピニオン希望による“主治医憤慨”によって転医を余儀なくされたという相

談もありました。

 医師の説明に対して、ほんの少しの疑問でも、あるいは理解できない部分が少しでもあ

ることが問題であり、聞き返せないまま、それらが徐々に増幅していくように思います。

 ちょっとの疑問や不安をそのままにせず、「どの部分が疑問なのか」「何が理解
でき
ないのか」「何が不安なのか」について納得できるまで、主治医と話しをす
ること
が大事です

 町医者の立場としては、「医療相談」という言葉が適当であり、セカンドオピニオンと
う言葉の正しい理解の手助けを通じて、主治医と患者さんとの緩衝役として役に立ち
いと願っています。

セカンドオピニオンのサイト

 代表的なサイトをご紹介します。

1)http://www.hosp.go.jp/second.html

全国の98ヵ所の国立病院機構に“セカンドオピニオン窓口”が設置されています。

2)http://www.2-opinion.net/html/2ndopnet.htm

臓器別のがんの全国のセカンドオピニオン協力医リストがのっています。