●甲状腺をちょっと勉強!
■ 甲状腺はどこにあるのでしょうか?
甲状腺は首の中央の「のどぼとけ(甲状軟骨)」の下に位置し、ハートあるいは蝶のような
形をした内分泌腺です。
(この図はメルクマニュアル医学百科より引用しました)
成人女性の頚部です ○印は甲状軟骨の高さを示しています
■ 甲状腺の役目は?
身体の発育や新陳代謝に関係する甲状腺ホルモンとカルシウムの代謝を調節するカルシト
ニンというホルモンを作ります。甲状腺ホルモンは「車のアクセル」のような働きをしま
すので、甲状腺ホルモンの過剰分泌はエンジンの“からぶかし”の状態になり、安静の状
態でも脈が速くなり、身体が火照り、食事を食べていても体重が減り、落ち着きがなくな
ります。それとは逆に甲状腺ホルモンが不足すると、身体の動きが鈍くなり、脈が遅くな
り、体温が下がり、うつ気分になります。全身のほとんどの細胞が甲状腺ホルモンに反応
することが知られており、生命維持に不可欠なホルモンです。カルシトニンは骨がカルシ
ウムを取り込むのを助けてくれます。
■ 甲状腺の病気は?
甲状腺の病気は、糖尿病と並ぶ代表的な内分泌疾患であり、日本人女性の約20%に見ら
れると言われています。甲状腺の機能異常があるにもかかわらず、自律神経失調症や更年
期障害として見過ごされることも少なくありません。
また甲状腺は乳腺と同じように体表面の浅いところに位置するため、「目で見て(視診)」
「触って(触診)」自ら“しこり”や“ふくらみ”の異常に気付くことも少なくありません。
甲状腺疾患は、甲状腺の機能に問題がある場合と機能は正常であるが「しこり」が問題
になる場合とに分類され、頻度の多いものとしては、甲状腺中毒症、甲状腺機能低下症、
甲状腺腫(がんも含む)が上げられます。
「体調がわるく、検査をしたが異常ないといれた」「首がふくらんでみえる」「首の左右差
がある」などの時は、甲状腺の専門医を受診してみましょう。
左は正常な甲状腺、中央は右葉(右側)の結節性甲状腺腫、右はびまん性甲状腺腫を示し
た模型です(この甲状腺モデルは、東京渋谷の伊藤病院創立70周年記念として頂いたも
のを撮影し、使用しました)