肥満と健康

肥満とは

一般的には肥満は“身体に脂肪組織が過剰蓄積した状態”をいいます。

昔から「男性型肥満・女性型肥満」「中心性肥満・末梢性肥満」「上半身肥満・下半身肥満」

などの言葉が使われてきましたが、国や民族の違いによって肥満の起こり方、程度そして

それによって引き起こされる症状や予後も異なります。

肥満症とは

日本肥満学会では肥満症とは「肥満が原因で疾病を起こし、かつ減量でその疾病の治療が

可能なもの」と定義しています。つまり肥満がある場合に、減量しなければならない人と

そうでない人とを区別する必要があるということです。

肥満症には、内臓脂肪蓄積が優位の質的異常と皮下脂肪蓄積が優位の量的異常の2つのタ

イプがあります。

肥満度の判定基準

身体の脂肪量を簡単に測定する方法はまだ確立されていませんが、統計的に割り出された

身長にふさわしい標準体重を基準に肥満度が定められています。最も簡単な標準体重の算

出法は「(身長cm100)×0.9kg」ですが、今ではBMIが国際的に受け入れられており、

「身長m×22」で求めます。肥満度は「体重kg÷身長m」で計算します。

  

欧米ではBMI30以上を肥満とし、日本を含めたアジア各国では25を採用しています。

肥満と健康障害

日本において疾病発生率が最も低いBMI22での疾病発生率を1にした場合、BMI25では

糖尿病1.19倍、高血圧1.67倍、高コレステロール血症1.35倍と報告されています。

日本人やアジア人は欧米人に比べてインスリン分泌が低く、BMI25程度の小太りでも、

欧米人の著明な肥満と比べて、糖尿病になりやすいといわれています。

また急増する肥満やメタボリック症候群とうつを含む精神疾患や睡眠障害との関連も取り

ざたされています。

肥満とがん

食道がん、膵臓がん、大腸がん、乳がん、子宮体がん、腎臓がんなどが特に肥満との関連

が濃厚であると報告されています。

肥満とがん(WCRF/AICR 2007年報告書)

   

まとめ

@肥満はそれ自体がひとつのリスクになります。

Aまず最初に自分の肥満度がどのくらいで、減量の必要があるかどうかを判定する必要が

あります。減量の必要性やその方法はかかりつけの先生に相談することをお勧めます。

B肥満、特に内臓脂肪蓄積状態はインスリン抵抗性が増し、糖代謝・脂質代謝・血圧の異

常をきたすとともに動脈硬化症に進展しやすくなります。

C肥満とがんとの濃厚な関連が証明されています。

D減量するためには食事療法と運動のどちらも必要です。

E減量により体重が最初に減るのは内臓脂肪であり、減量効果は絶大です。

 

※上記内容についてはMedical ASAHI 2010 FebCLINICIAN no584,vol56より一部引用

しました。