漢方薬治療

漢方をちょっと勉強しましょう

♦漢方薬は「生薬を薬研(やげん:生薬をすりつぶす器具)でゴリゴリすりつぶし、それを土瓶に入れて、

煮詰めたものを飲む」というイメージを持っている方が多いと思います。黒沢明監督の赤ひげという映

画で三船敏郎が生薬をゴリゴリやっているのを思い出します。今でも煎じ薬を処方する漢方専門医や漢

方薬局はあります。

           

♦当院を含め多くの医療機関ではエキス剤を処方しています。エキス剤とは生薬を工場内で抽出・分離・

濃縮・乾燥・包装などの工程を経て製造されたもので、煎じる手間が省け、安定した品質の漢方薬とし

て服薬することができます。ツムラの医療用漢方製剤がよく知られています。エキス剤は健康保険の適

応を受けており、高血圧や抗生物質などのいわゆる西洋医薬品と同様に処方することができます。西洋

医薬品が1つの突出した効果、つまり「4番打者」であるのに対して漢方薬は「チームとしての総合力

とバランス」です。西洋医学ではかぜの時にその症状1つ1つに抗生物質、鎮咳剤、去痰剤、消炎剤な

どを処方するのに対して漢方では葛根湯を代表とする一剤で対応します。

♦漢方薬としてよく使われる生薬の桂枝(ケイヒ)はシナモンであり、甘草(カンゾウ)は醤油などの甘

味料として広く使われています。生薬の多くは私たちがよく知っている草の根、木の皮などから作られ

ています。

一言

漢方薬は医療機器や血液検査のない遥か昔から、先人の知恵と経験の積み重ねによって出来上がったも

のです。漢方薬には未だ解明されていないこともたくさんありますが、副作用の少ない、安全なお薬で

す。当院でも漢方薬を処方することができます。