こむら返り

「こむら返り」とはいったい何のことでしょう

まず“こむら(腓)”とはすねの後ろ側の軟らかい部分、つまり“ふくらはぎ”のことです。

この「ふくらはぎがひきつった状態」をこむら返りといいます。今回は日常よく起こるふく

らはぎのこむら返りについて簡単にお話しします。

ちょっと難しい表現

このこむら返りは専門的には「突然起こる痛みを伴う骨格筋の収縮」ということになります。

特にふくらはぎ、太ももなどに多く起こり、運動中、運動後や睡眠中にも生じます。

原因について

明らかな発症のメカニズムは分かっていませんが、運動ニューロンの過剰な興奮が引き金

となって筋収縮が起こり、血流が阻害され、筋の虚血を招いて痛みが出るといいます。筋の

疲労やウォーミングアップ不足などが原因で起こるようです。冷水での水泳、テニスのサー

ブでのつま先立ちなどで誘発されます。

睡眠中のこむら返り

運動中やプールでのこむら返りは私自身も経験ありますが、それとは全く正反対の安静睡

眠中にもこむら返りは起こります。こむら返りの7割は夜間に経験するといわれています。

65歳以上の約6割の患者さんが夜間に起こると報告されています。特に高齢者では女性

に多いともいわれています。

起こったらどうしたらいいのか

激しい痛みに耐えて、ふくらはぎのストレッチをします。寝ている状態であれば、つった側

の膝を曲げないようにして拇趾を引っ張ってください。腹ばいの時は、つま先が伸びている

状態なので、仰向けに寝がえりをうってから拇趾を引っ張ってみましょう。立っている状態

であれば、かかとをつけたまま、反対側の膝を軽く曲げふくらはぎをストレッチしてくださ

い。


この図では左のふくらはぎがストレッチされています。

予防するにはどうしたらいいのか

毎日起きる場合は予防的に毎日お薬を内服したり(就寝時1回)、あるいは発症した時に頓

服する方法もあります。どちらも芍薬甘草湯を使います。その他、運動前後のストレッチを

欠かさないこと、脱水にならないようにスポーツドリンクを補給することそして下肢が冷

えないよう心がけることが大事です。

私の場合

小学校のころ、夏には横浜の元町プールによく通っていました。このプールは水道水の他に

湧水も使っていたので、真夏でもとても冷たく、よく足がつったことを思い出します。大人

になってからは数年前より睡眠中、特に明け方にふくらはぎの激痛で目を覚ましました。毎

日ではありませんが、週1回程度起こります。毎回痛みが出る前に何となくふくらはぎがき

ゅっとなり、「くるな」といういやな予感がわかります。拇趾を引っ張れば、治りますが、

もう眠れません。以来就寝前のストレッチと芍薬甘草湯を服用するようになり、こむら返り

は起こらなくなりました。この1年は内服していません。