機能性消化管障害:その1

機能性消化管障害とは、炎症、潰瘍、ガンなどの明らかな器質的病変を認めないにもかかわらず、

胃の「もたれ」、胃の痛み、悪心、食欲不振、下痢、便秘などの消化器症状を呈する病態のことを

いいます。

 

これは、上部消化管症状を呈する機能性胃腸症(functional dyspepsiaFD)と下部消化管症状

を呈する過敏性腸症候群(irritable bowel syndromeIBS)とに分類できます。

このFDIBSを合わせると、消化器症状を主訴として来院する患者さんの4割近くを占めると

もいわれています。「昔から胃腸が弱い」「何となく胃腸の調子が悪い」などという方がこれに
てはまるものと思います。

今回はこのFDについて簡単にお話します。

FDとは?

胃の「痛み」を主とする「潰瘍症状型」、胃の「もたれ」を主とする「運動不全型」、どちらにも

当てはまらない「非特異型」の3タイプに分類されますが、科学的にはまだ解明されていません。

今のところ、胃酸の分泌、胃の動き、内臓知覚過敏などの機能異常が推測されています。

■内視鏡検査は必要か?

FDを診断・治療する上で、器質的病変がないことを確認することも重要であり、検査で異常が

ないことの確認が安心感をもたらし、症状の軽減にもつながります。また日本では胃がんが多い

ことも考え合わせると内視鏡検査は欠かせないと考えます。最近では経鼻内視鏡も普及し、以前

より楽に検査が受けられます。

■治療は?

まず最初にFDという病気を理解することが重要です。胃潰瘍などがなくても、痛みや不快感が

起こりうることや治らない病気ではないことを理解する必要があります。そして問診と相談の中

で、その病態にあった内服薬を選択していきます。