機能性消化管障害:その2

機能性消化管障害とは、炎症、潰瘍、ガンなどの明らかな器質的病変を認めないにもかかわらず、

胃の「もたれ」、胃の痛み、悪心、食欲不振、下痢、便秘などの消化器症状を呈する病態のことを

いいます。

 

これは、上部消化管症状を呈する機能性胃腸症functional dyspepsiaFD)と下部消化管症状

を呈する過敏性腸症候群irritable bowel syndromeIBS)とに分類できます。

このFDIBSを合わせると、消化器症状を主訴として来院する患者さんの4割近くを占めると

もいわれています。「昔から胃腸が弱い」「何となく胃腸の調子が悪い」などという方がこれにあ

てはまるものと思います。

今回は前回のFDに続いて、IBSについて簡単にお話します。

IBSとは?

下痢、腹痛、下腹部不快感などの症状の「下痢優位型」と便秘、腹痛、下腹部不快感などの症状

の「便秘優位型」の2タイプに分類されています。

■内視鏡検査は必要か?

便潜血陽性で、血液検査で炎症反応のある中年以降の方は内視鏡検査の対象になると考えます。

20〜30代の若年層で、便潜血陰性で、血液検査で炎症反応のない場合には、すぐに内視鏡検

査をする必要はないと思います。

■治療は?

経過が長く、不愉快な症状があるにもかかわらず、器質的な病変がないIBSという病態を理解し、

受け入れることが大切です。そして規則正しい生活習慣と食習慣が重要になります。よく噛んで

ゆっくり食事をすること、食べ過ぎないことがポイントになります。ご飯を中心とした和食をお

勧めします。

現在ポリカルボフィルカルシウム(商品名:コロネル)という薬剤が下痢と便秘の両方に効果的

であり、IBSの第一選択になっています。