胃カメラと胃透視(バリウム)の比較(長所と短所)

 

経済性

簡便性

検査時間

デメリット

診断能力

治療

X線被爆

胃カメラ

\3490

絶食なら可

2~3

咽頭反射

高い

内視鏡

手術ほか

ない

胃透視

\3820

絶食なら可

20

便秘

低い

できない

ある

A)経済性:ほぼ同じです(表示は検査料のみ、3割負担)。胃カメラで病理検査を行った

   場合は追加となります(胃カメラ+病理検査:\7420円)

B)簡便性:絶食・絶飲状態であれば、どちらの検査もすぐできます。

C)検査時間:胃カメラはノドの麻酔などの前処置5分と検査の正味時間2〜3分です。
  胃透視は体位変換やレントゲン台の移動時間など合わせて20分くらいはかかります。

D)デメリット:胃カメラは咽頭反射の強い方は辛い印象が残りますが、前処置として鎮

   静剤の静脈注射を合わせて行いますので心配いりません。胃透視の場合はバリウムが

  まずいことと、検査終了後に下剤を服用しないと、バリウムがかたくなって便秘にな

  ることがあります。

E)診断能力:胃カメラは消化管粘膜の色調・性状、腫瘍、潰瘍、ポリ−プなどを直接フ

  ルカラ−で詳細に観察でき、さらに生検による病理検査で確定診断がつけられます。

  それに対して胃透視はレントゲン写真から得られる腫瘍、潰瘍、ポリ−プなどの形の

  情報から間接的に疾患を診断します。したがって胃透視では確定診断は得られず、良

  性・悪性の判断をつけるために最終的には胃カメラが必要になります。

  しかし消化管の位置・全体の形、狭窄の程度・長さ、バリウムの流れ方や時間経過な

  どの機能的診断や全体像を観察するには胃透視は優れています。

F)治療:胃カメラは消化管を観察するばかりでなく、1)食道静脈瘤の種々の止血法

2)胃十二指腸潰瘍の種々の止血法 3)ポリ−プ切除 4)早期がんの粘膜切除

5)胃ろう造設(経管栄養)6)レ−ザ−治療 など多くの治療が可能です。

胃透視は検査目的であり、治療できません。

G)X線被爆:胃カメラはレントゲンを使いませんので被爆はありません。

  胃透視1回で浴びる放射線量はおおよそ胸のレントゲン写真の6〜7枚分に相当しま

  す。1年間に浴びる自然放射線量は胸のレントゲン写真1枚分に相当します。

胃透視年間2回くらいなら問題ありません。

  総括1)急性症状のある時は胃カメラが第一選択。

    2)胃カメラがどうしても出来ない方や術後のフォロ−アップには胃透視。

    3)早期発見・早期治療のために、症状がなくても年に1回かかりつけの先生
         に胃カメラをしてもらうことをお勧めします。