食について考えるー土産土法(どさんどほう)

     “地産地消(ちさんちしょう)”なる言葉を最近よく耳にします。これは、その土地でと

れたものをその土地で消費するという意味です。さらにその土地のその季節にとれるもの

を、その土地に伝わる調理法で料理して、食べることを“土産土法”と言います。このこ

とは旬のものを旬のまま美味しく食べるということであり、日本では昔からその土地の地

形、気候、風土にあった食材が生産され、その土地の郷土料理として親しまれてきました。

また“身土不二(しんどふじ)”という言葉もあり、人と土は一体であり、人の命と健康は

食べ物で支えられ、食べ物は土が育てるという意味です。

     日本ほど新鮮な食材が容易に手に入る国は珍しいといわれていますが、日本の食糧の

60%が輸入に頼っており、全世界からあらゆる食材が、季節に関係なく、大量にしかも

安く流入し、季節感や旬の感覚はうすれる一方です。                            

     日本人をはじめとするアジア人はもともと農耕民族であり、比較的高温多湿な環境で、

米作を主とし、蛋白源は植物性のものを中心とし、肉食の習慣がなく、脂肪の摂取は非常

に少ないという歴史がありました。ところが今の日本では、肉食が中心となり、さらに脂

肪摂取量が激増したための“高脂肪・高カロリ−”によって、肥満、糖代謝異常、脂質代

謝異常などが引き起こされたものと考えられます。

     「粗食のすすめ旬のレシピ(幕内秀夫著―東洋経済新報社発行)」をご紹介します。

“日本人の食習慣には粗食が合う”と説いており、その「粗食の基本」について解説して

います。その一部を列挙します。

1)食生活は土産土法で:その土地のその季節にとれるものをその土地に伝わる調理法で

料理するのがいちばん自然にかなっている。

2)食生活改善の方法は、

@     体と家族と社会に合っていること:その人に合ったものでなければ長続きしない。

  自分の理想の食生活を見つけよう。

A     たまには楽しみも必要であること:普段の日と休みの日のメリハリをつける。

B     土台、柱、屋根をしっかりする:食生活は家を建てることに似ている。手の抜け

ない土台部分である主食はしっかりさせ、カーテンやじゅうたんは簡略にする。

3)食生活改善の十か条

@     ご飯をきちんと食べる

A     醗酵食品を常に食べる

B     パンの常食はやめる

C     液体でカロリ−はとらない

D     未精製のご飯を食べる

E     副食は季節の野菜を中心に

F     動物性食品は魚介類を中心に

G     砂糖、油脂の採りすぎに注意

H     できる限り安全な食品を選ぶ

I     食事はゆっくりと、よくかんで

4)献立は5・3・1・1の割合で

毎日の食事では、主食「5」、野菜・海草・いも「3」、豆・豆製品・種実「1」、

動物性食品「1」の割合が目安。量の感覚はアバウトで。

     食べるということは本来とても楽しいことです。しかし食事の内容、量、バランス、食

べ方によっては健康にもなり、また不健康にもなります。好き嫌いを言わず、何でも食べ

る。でも食べ過ぎないこと。つまり“粗食、雑食”をお勧めします。一度自分の食生活を

洗い出してみましょう。何か発見があるかもしれません。

健康は食から!