トコジラミ(床虱)

上記写真は「衛生害虫と衣食住の害虫」(全国農村教育協会)より引用しました。

■トコジラミはナンキンムシ(南京虫)とも呼ばれ、カメムシ目、ナンキンムシ科に属す

る吸血の昆虫です。

■簡単な歴史:トコジラミは日本土着のものではなく、文久年間にヨーロッパから買い入

れた古船から上陸したものといわれています。その後明治になって、軍隊の兵舎に蔓延し

たことから鎮台虫(ちんだいむし)とも呼ばれていました。(鎮台とは軍隊のことです)

戦前は日本でもよく見られていましたが、戦後、有機リン系の殺虫剤によってほとんど姿

を消しました。ところが2000年以降、温暖化によるトコジラミの活動期間の延長、物や人

の地球規模の移動そして殺虫剤に対する抵抗性獲得などの複合的要因により先進国でも再

興するようになりました。最近、日本やアメリカのホテルなどでトコジラミが発生したニ

ュースを見ました。またニュースではヒーター内臓のスーツケースを紹介しており、旅行

から帰ったら、電源を入れてから荷ほどきするそうです。

■習性:昼間はベッドの中、マットのすき間、壁紙のうら、柱の裂け目、床板の間、家具

などに生息し、夜に出てきて首すじや手などの露出した部分がねらわれ、吸血します。ト

コジラミの潜んでいる場所には排泄物の黒褐色の汚れが見られます。

■症状と対策:猛烈なかゆみに襲われます。他の刺虫症と同様、ステロイド軟膏と抗ヒス

タミン剤の内服で対応するしかありません。今のところトコジラミが媒介する感染症は見

つかっていません。

■駆除:トコジラミには殺虫剤が無効であり、駆除は大変困難です。トコジラミは58

mm位の目で見える大きさです。潜んでいそうな場所を徹底的に掃除機で吸引しますが、

耐寒性や飢餓にも強いので、あきらめずに駆除することが大事です。

※バルカン地方の民間伝承のトコジラミ退治法が「衛生害虫と衣食住の害虫」という原色

図鑑(安富和男・梅谷献二編、全国農村教育協会発行)に載っていましたので紹介します。

インゲン類(マメ科)の葉をベッドの下の床に56枚まいておくと、葉にたくさん生えて

いる釣針のような毛にトコジラミの脚がひっかかり、もがいて抜こうとするほど跗節の節

間膜に刺さって動けなくなってしまうということです。