急性乳腺炎

急性乳腺炎とは乳腺の炎症性疾患で、授乳期に最も多く発症します。特に初産婦に多く、

乳汁の排出障害つまり乳汁のうっ滞が原因で起こるためにうっ滞性乳腺炎とも呼ばれてい

ます。局所のマッサージを積極的に行い、乳児に十分授乳し、乳汁のうっ滞を防止するこ

とが肝腎です。一旦硬くなると、痛みが強いため自分でマッサージできなくなり、家族の

協力が必要になります。乳管が詰まった場合には乳管のブジー(鼻涙管ブジーを使って詰

まった乳管を通す方法です)が有効です。

また黄色ブドウ球菌などの起炎菌の感染が原因で起こるものに急性化膿性乳腺炎がありま

す。強い疼痛、発赤に加え、悪寒、高熱が出ます。初期は内服療法を行いますが、膿瘍に

なったら直ちに切開・排膿が必要になります。

今回の症例は、急性化膿性乳腺炎の中の乳輪下膿瘍になったものです。痛みが出てから1

週間我慢して来院しましたが、すでに排膿していました。追加切開せず、通院による消毒

と抗生剤・消炎鎮痛剤の内服にて軽快しました。